日本×ものづくり

三和シヤッターの
防水商品開発

当社の防水商品を支える技術や、
そこに込められた思いを
ご紹介します。

近年、大型台風や集中豪雨などによる浸水、冠水被害が相次いでいます。いつ起こってもおかしくない都市型水害から会社や施設そして皆さんの暮らしを守るためには、普段からの備えが重要。三和シヤッターは2014年から防水関連商品を数多くリリースし、安全で強靱かつ、持続可能な都市づくりに貢献する商品・サービスを提供してきました。
当社の防水商品を支える技術や、そこに込められた思いを、商品開発部の辻さんに聞きました。

Chapter01
なぜ防水商品に注力するか?

東日本大震災をきっかけに開発を開始

三和シヤッターが防水商品の開発に乗り出したきっかけは、2011年の東日本大震災。当時、津波の影響を受け、被災地域の沿岸部で甚大な浸水被害が発生したことで、災害に対応できる防水機能を有するシャッターやドアのニーズが顕在化しました。それ以来、お客様の命や大切な資産を守るため、私たちはシャッター・ドアのトップメーカーとして、今日まで真摯にお客様の声に向き合い続けました。

ウォーターガード Wタイトドアウォーターガード Wタイトドア

例えば、津波で被災した下水道施設のお客様からは、「今までより簡単に操作できて、確実に防水できる扉を開発してほしい」という要望がありました。まずは、どうしたら浸水を防ぐことができるのか、施設内でも浸水被害の少なかった建屋の調査から開始しました。建屋内への浸水が抑えられたドアの納まり、枠形状、扉構造、そして、津波の当たった角度などさまざまな点をチェックし、開発に反映しました。そうして生まれたのが、「ウォーターガード Wタイトドア」です。

ウォーターガード 防水シャッターウォーターガード 防水シャッター

そして、同じタイミングで防水シャッターの開発も進め、2014年に「ウォーターガード 防水シャッター」をリリースしました。初めて当社の防水シャッターを納品した際は、施工部門だけでなく、開発、設計や営業など、関わる人皆で現場に行ったものでした。試作の段階と実際の取り付けでは異なる部分がいくつもあり、想定以上に時間がかかったことを覚えています。当時と比較すると、今は商品の性能や当社の施工技術も遥かに向上し安定した商品となっています。

Chapter02
三和が提供する
防災商品とは

幅広い防水ニーズに応える
豊富なラインナップ

現在当社が提供している防水商品は、シャッター、ドア、防水板の3カテゴリです。シャッターとドアはそれぞれ2タイプ。なかでも、「ウォーターガード 防水シャッター 防火・防煙タイプ」は水害だけでなく火災の対策も可能にした業界初の商品として、2021年に「防災防疫製品大賞 最優秀賞(新製品開発部門)」を受賞するなど、高い評価を受けています。
防水板は、素材や設置方法の異なる約20種類のラインナップがあります。定番は収納庫から防水板を取り出して防水準備をするタイプですが、普段は床下に格納し、必要時すぐにシートを引き出してセットできるタイプや、床が自動で起伏するタイプも。素材もアルミや樹脂製など、軽量化に努めたさまざまな商品を販売しています。

より少ない手間で、
より大きな災害に耐える商品開発の挑戦

防水商品開発の際に目指してきたのは、水による被害を最小限にとどめるために「素早く、安全に、確実に」止められるようにすることです。災害が発生した場合、1つのドアの防水設定に数十分も要していたら、すぐに被害が拡大してしまいます。そこで、当社では5分以内で防水操作が完了できることを基準に、商品の開発、設計を行なっています。
中でも片開きの防水ドアには自閉装置を搭載しているため、扉から手を離して自動で閉まれば、その状態で1~2mの浸水に耐えることができます。つまり、ドアを閉めるだけで、防水操作を完了することができるのです。

どの程度の浸水に耐えられる商品を設計しなければならないのか。その要望水準は、年々高まっています。10年ほど前は「過去にこの高さの浸水があったから、それに対応できるようにしよう」という考え方が主流でした。しかし、50年に一度、100年に一度とも言われるような災害が毎年発生するようになり、「予想を上回る大災害が、明日にも来るかもしれない」という人々の不安が高まりハザードマップに記載された浸水高さよりも高い水位を要求されることが多くなってきております。そこで、近年では、現在の各商品の設計浸水高さを上げる取り組みを行っております。

防水商品の開発防水商品の開発
防水商品の開発防水商品の開発

防水商品の開発には、隙間を無くす、また重ね合わせた部材同士が水圧により広がりそこから水が漏れないようにする技術が必要であり、これまでのシャッター・ドア開発とは異なる考え方が求められます。

防水シャッターでは、可動する各パネルの上下に防水ゴムの配置と固定側のガイドレールに防水ゴムを配置し、パワーシリンダーで上下圧迫、前後圧迫することにより防水機能を発揮させていますが、可動部と固定部の接触部で水を止めることに苦労したことを覚えてます。

また、水圧を受けてシャッターが押されると、たわんで隙間ができてしまうことをいかに克服するかという課題もありました。開口部が広くなり、想定水位が高くなるほど、技術的な壁はどんどん高くなっていきます。

開発メンバーは、新商品開発や仕様変更を行うたびに、各種試験を数十回行い、漏水箇所の確認や各部材の変形構造を見直しながら試行錯誤を繰り返しています。

浸水防止用設備漏水量比較表浸水防止用設備漏水量比較表
※本グラフ記載の漏水量は、(一財)建材試験センターによる技術評価のデータを元に作成しています。

当社商品の漏水量を比較すると、Sタイトドアのように浸水高さが低い場合の方が、漏水量が多くなっています。これはドアを密閉するために水の力を必要とするためです。浸水高さが上がり、水がドアを押す力が強くなるほど、ドアが強く押し込まれて密閉され、漏水量も少なくなるということです。

開発の際は、工場や品質、設計、営業など各部署の意見も重要です。防水に精通した人の意見のみならず、いろいろな人の意見を取り入れることが、社会のニーズに即した商品づくりにつながると考えています。施工業者の方々にもどんな点を苦労しているか、雑談混じりに情報収集に行くことも。特に、商品に対する要望は、直接ユーザーに会ってお話することを大切にしています。

Chapter03
防災商品を生み出す
三和の技術力

高性能な商品の提供を支える技術力

防水シャッターでは、災害時の水害を防ぐ機能を高めることはもちろん、平常時に管理シャッターとして利用できる耐久性、性能、品質を担保することは欠かせません。当社では、試験において1万回以上の開閉繰り返し試験をクリアした商品だけを提供しています。日本の高水準な国家規格(JIS)をクリアした国内製造販売の商品だからこそ、自信を持ってお客様に使っていただくことができています。

防水商品の取り付けには、通常のシャッター・ドアとは違う細かい注意点がいくつもあります。そのため、防水シャッター・防水ドアの施工には免許制をとっており、施工研修センターで技術を身につけた施工技術者が取り付けを行うことで、品質を担保しています。
また、防水は普段使うことのない機能だからこそ、いざという時に不具合がないように、定期的にメンテナンスを行うことが非常に重要です。施工後も年二回の点検を推奨しており、ゴムなどの部品の交換時期も明確に設定して資料をまとめ、メンテ・サービス部門と共有しています。

今後の方向性について、現在世の中で環境にも配慮した素材への関心が高まっていることから、リサイクル素材やエコ材料を商品に活用していきたいと考えています。
そして雨や風、地震などのマルチハザードに対応できる品質と性能の向上を続けていきます。常にお客様の課題解決に繋がる一歩先を進んだ開発をしていきます。

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