社外取締役メッセージ
グローバル企業としてのポテンシャルを高く評価。
一方、人材確保やブランド力のさらなる強化は今後の課題

社外取締役
Michael Morizumi
外資系証券会社の証券アナリストを長く経験した後、財務・IRの専門家として株式会社パシフィックIRを設立。日本企業の社外取締役や社外監査役なども務める。2025年6月より当社社外取締役(監査等委員)に就任。
- 統合報告書2026より転載
証券アナリストの経験や財務・IR専門家の知見を活かし、質の高い議論に貢献
私は長年にわたり、外資系証券会社の証券アナリストとして企業分析や投資戦略などの業務に従事してきました。現在は財務・IRの専門家として独立し、いくつかの日本企業で社外取締役や監査役も務めており、企業のコーポレート・ガバナンスにも深く携わっています。特に外食企業の社外監査役時代には、食品を扱う業種柄、厳格な安全基準の遵守はもちろん、徹底したリスク・リターン分析に基づく出店戦略の精査にも関わり、大変貴重な経験となりました。
私は日本でのビジネス経験が長いとはいえ、米国出身であり、国際色豊かな環境でキャリアを積んできました。したがって、グローバルな視野や証券アナリストの経験、財務・IR専門家としての知見を活かし、あえて違った切り口から意見することを心がけています。また、客観的で合理性のある市場分析や判断基準に基づく議論、透明性のあるプロセスを常に重視しており、多様性や専門性、客観性などの観点からコーポレート・ガバナンスのさらなる質の向上に貢献することが私の役割だと認識しています。
品質の高さやサービスへのこだわりに加え、グローバル企業として高く評価
当社に対しては、もともとシャッターやドアのイメージがあり、三和グループの商品をさまざまな場面で見聞きしてきました。
以前は国内トップ企業という印象が強かったのですが、就任に際して、海外売上高比率が半分以上を占め、さらに外国人投資家の持株比率も高いことを知り、グローバル企業としての認識が高まりました。特に海外M&A戦略に力を入れており、私が若い頃、母国米国で慣れ親しんできた「Genie」※がグループ会社であることを知って驚き、より身近に感じられるようになったという個人的な想いもあります。
当社に対する評価という点では、品質の高さやサービスへのこだわりが徹底していることに加え、海外M&Aを通じてグローバル化に成功してきたところに大きな特長があると捉えています。不確実性の高い事業環境のもとで、グローバル規模でリスク分散されているところは評価すべきポイントです。当社株式のPBRが高いのも、ROE、ROICといった資本収益性が高いことと、グローバルで稼げているところに裏付けされたものといえるでしょう。特に海外投資家にとって、日本企業に対する懸念材料である国内市場の成熟化に対応できているかどうかは重要な判断要素です。
また、防災や安全対策、環境対応など、社会課題解決に向けた商品開発を軸とする戦略についても社会的な価値が大きいと評価しています。軽量ドアの主力生産拠点である群馬県の太田ドア工場を視察した際には、同工場内に併設された試験センターへと足を運び、耐火性能や耐風圧性能、防水性能などの厳しい安全評価・品質テストの現場を目のあたりにしました。近年気候変動などの影響により増加している豪雨や水害など自然災害への対応が喫緊の社会課題となっていることを勘案すれば、当社ならではの防災商品の開発、提供が社会に与えるインパクトは大きく、当社商品の競争力およびブランド力の向上にもつながるものといえます。さらにAIやデジタル技術なども活用し、開口部という領域でどのようなソリューションを生み出していくか、考えるだけでワクワクします。
一方、世界中で不確実性が高まる中で、足元の業績は、過去最高業績を連続更新した過去3ヵ年と比べるとやや踊り場のように見えます。ただ、グローバルビジョンそのものは総じて順調に進展しており、業績面でも堅調な国内市場が下支えしていることから、分散効果が発揮されているとの見方もできるでしょう。
- 米国ODCの開閉機事業のブランド
オープンで風通しのよい企業風土や透明性の高いガバナンス体制にも特長
非常にオープンで風通しのよい企業風土もポジティブに捉えています。さまざまな企業経営を見てきましたが、成長する会社には共通して見られる特長だと感じています。
また、経営に対するガバナンスもしっかり機能していると評価しています。取締役会は社外取締役が半数を占めるほか、各委員会(指名・報酬委員会、監査等委員会)の委員長も社外取締役が務めており、独立性、透明性が十分に確保されています。また、運営面でも自由で活発な議論ができており、社外取締役へのサポート体制も充実しています。特に私にとって重要なのはコミュニケーションしやすい環境や質の高い議論を展開するための情報がそろっているかどうかであり、その点においても非常に満足しています。
人材確保や成長投資のスピード、ブランド力の強化などは今後の課題
日本が直面する人口減少や労働力不足への対応は、当社にとっても最重要テーマの一つだと認識しています。人事制度や報酬体系、生産性など、ほぼすべての日本企業に共通する課題を見極め、抜本的な見直しの要否を検討していくことが必要です。また、国内の人口減少を踏まえれば、当社が海外市場に広がる新たなビジネスチャンスへ一層注力していく意義は大きいと考えます。「高機能開口部のグローバルリーダー」を目指すうえで、グローバル人材やDX人材の育成・確保は、当社にとって避けて通れない課題だといえるでしょう。
また、M&Aを含む積極的な成長投資戦略に取り組んでいますが、そのスピードや精度をいかに高めていくのか、投資実行後のパフォーマンスをどう引き出していくのかも今後の成長性を占ううえで重要なポイントです。その一方で、世界的な不確実性の高まりや新興国への進出などに伴って、グローバルガバナンスやリスクマネジメントをさらに強化する必要があり、攻めと守りの両方を同時に行っていかなければなりません。私は、M&Aでグループインした海外子会社とのコミュニケーションの強化はガバナンス面だけでなく、ビジネス面でも有益であると考えています。シナジーの追求はもちろんですが、当社にはない彼らの知見やノウハウから学ぶものも大きいはずですし、人材の発掘や育成の面でもプラスの効果が期待できます。
ブランド力の強化に向けても、まだまだ改善の余地があると感じています。品質や機能性の高さといった当社製品の実力に見合うブランド力があるかというとまだ十分ではなく、ブランドストーリーの打ち出し方や発信力しだいで、もっと大きなポテンシャルが潜んでいるのではないでしょうか。そういう意味では、海外投資家とのコミュニケーション強化に関して、海外向けIRを含む、英語での情報発信の更なる充実も取り組むべき課題だと認識しています。
次の80周年、さらに100周年に向けて、グローバルビジョンの方向性は非常に合理的で蓋然性も高いと評価しています。品質やサービスへのこだわり、社会課題に向き合う姿勢といった、これまで大事にしてきたものを守りながら、変化の激しい市場動向に柔軟にアジャストしていくことが今後の成功のカギを握ることになるでしょう。
積極的なグローバル展開や投資戦略の進捗を適切に監督し、持続的成長を支える
就任1年目は手探りのところもありましたが、理解が進むにつれてチェックすべきところ、アドバイスすべきところが見えてきました。当社の場合、積極的なグローバル展開や成長投資を戦略の軸に置いており、私の果たすべき役割は非常に重要であると自覚しています。
引き続き客観的で合理性のある市場分析や投資判断に基づく議論を展開するとともに、課題として取り上げた人的資本や投資戦略の進捗、海外子会社との連携、グローバルガバナンスの状況などをしっかりとモニタリングしていきます。また、今後の価値創造の源泉となる商品およびソリューション開発やブランド力の強化に向けても、これまでの経験や知見などを通じて、さまざまな角度からの提案をしていきたいと考えています。これからも自分の持ち味を活かすことで企業価値向上に資する役目を果たし、ステークホルダーの皆様の期待に応えていく心構えです。